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2002年 03月11日更新 | ▼バイリンガルの脳の働きを見る
二ヶ国語を流暢に操る人は決して複数の言語が混乱することはありません。その仕組みについては今まで不明な点が多くなぞのままでしたが、今回、バイリンガルは単語を見てもそれが言葉の意味に直結することは無く、思考の前段階で言語がふるいわけをされる、すなわち、言語を完全に切り替えるスイッチが脳の中にあることがわかりました。
▼寝すぎると早死にする
110万人のアメリカ人を対象にした大規模調査の結果、最も「死ににくい」睡眠時間は統計的には7時間であることがわかりました。従来、健康のためには8時間睡眠が良いといわれていましたが、実際には8時間睡眠を続けると、今後6年以内に何らかの理由で死亡するリスクが10%増加することがわかりました。また、3時間以下の睡眠時間では30%、10時間以上の睡眠では40%も6年以内の死亡リスクが高まることも判明しました。
さらには、不眠症自体は死亡のリスクを高めませんが、不眠症を解決するために睡眠薬を服用すると、服用の回数が増えるほどに死亡のリスクが高まることもわかりました。 |  | |
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2002年 03月04日更新 | ▼サブリミナル効果を科学的に検証
アメリカで、被験者に画面上に表示された文字を見るように指示する実験が行われた。この文字の回りでは、テレビ局が放送停止中に送信する「砂嵐」のように点がランダムに動いていた。ただし、被験者には告げられていないが、これらの点の5 %が一定方向に移動おり、被験者の誰もそれには気づかなかった。
このようなサブリミナル訓練が25日間行われた後、被験者が一定方向に動く点を識別する能力が一般の人と明らかに違いがあるレベルに達しているかどうかを調べる検査が行われた。その結果、それまでのサブリミナル訓練で見せられていた移動方向を識別する能力は、通常より20 %優れていた。
▼ティーバッグのデザインと紅茶の味
多孔性のティーバッグ生地を使って、さまざまな形と大きさのティーバッグを作り、4グラムのセイロンオレンジペコを仕込んで、ティーバッグの形と紅茶の成分の進出の関係を調べる研究が行われた。
浸出率は、ティーバッグの面積が増えるにつれて上昇し、ティーバッグの面積と茶葉の質量の比率が約1:20のレベル(この実験では7センチ角のティーバッグ)を超えると、横ばいになった。またティーバッグに入れていない茶葉からの浸出率は、最大サイズのティーバッグに入った茶葉からの浸出率を上回っていた。 |  | |
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2002年 02月25日更新 | ▼霊長類で始めて単為発生に成功
単為発生(たんいはっせい)とは卵を受精させることなく化学的な方法などを用いて細胞分裂の開始を行うことで、これまでマウスなどでは実験的に行われていましたが、今回、人に極めて近いサルで単為発生に成功しました。こうして得られた肝細胞は受精させて得られるES細胞よりも、狙った細胞へ分裂させることが出来る可能性が高く、ES細胞に比較して倫理的な障壁も低いことから、パーキンソン病や糖尿病などの難治性疾患の治療に活用できる日が来ることが切望されています。
▼私たちは宇宙からやってきた?
地球上の生命の起源には、原始地球の海に雷や高温などの刺激が与えられて生命が発生したという説と、生命の根源が宇宙からやってきた、という説があります。今回、地球上の生命がすべてL型アミノ酸を持っていることを中性子星から放出される右円偏光の光がアミノ酸のL型比率を高めることが地球上の実験で確認され、生命の源は宇宙からやってきた可能性が高いことが示唆されました。この研究は日本の研究者によって世界をリードして行われています。 |  | |
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2002年 02月18日更新 | ▲緑内障
視野が狭まり失明の恐れもある緑内障に関与する新たな遺伝子が発見されました。これまでも6つの緑内障関連遺伝子が発見されていましたが、今回はコードしているたんぱく質も判明しており、家族性緑内障の16.7%に関与している点が注目されています。
▲女性は父親の臭いを好む
女性が好む男性は女性の父親と同じ遺伝子をもっていることが発見されました。これは生存の活力があるかどうかが不確実なあかの他人の遺伝子よりも少なくとも自分と同じ程度には健全な遺伝子をもつ人を配偶者として選ぶ上で役立っていると思われます。 |  | |
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2002年 02月11日更新 | ▲地球に無い生命体作れる可能性
生命の設計図とされる遺伝情報は四種類の塩基ATCGで書かれています。この塩基の並び方が暗号となって生物の身体の基本となるたんぱく質が作られます。今回日本の理化学研究所のチームが新たにSYという塩基を合成し、これに従来の塩基をあわせて新たな遺伝暗号を作ったところ、これまで生物の体の中では作られていなかった新しいたんぱく質が合成されました。
▲花粉症
花粉症は1960年代に日本で初めてすぎ花粉症の症例が報告され、現在では10人に1人が罹患しているといわれています。前年の夏の天気によって花粉の飛散量は決定されますが今年は昨年よりは少ないが平年よりは多めと予想されています。花粉症の患者にとって、花粉の多い時間帯を知っておくことは大切ですが、天気の良い日には日の出から徐々に増え始め、正午頃にピークとなります。また、夕方になって気温が低くなると上空を漂っていた花粉が地表付近に下りてくるために日没直後に二回目のピークが現れます。この時間帯には窓を開けない、外出しないなどの対策が必要です。ただし、都会ではアスファルトやコンクリートの上に落ちた花粉は付着することなく風や都市の活動によって何度も空中に舞い上がりますので、時刻とピークの関連があいまいになっています。 |  | |
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2002年 02月04日更新 | ▲古い記憶を消すためには新しい脳細胞が必要?
アルツハイマー病患者の大部分で異常をきたしているプレセレニン1と呼ばれるたんぱく質を遺伝子操作で失わせたマウスは記憶の持続が長いことがわかりました。プレセレニン1を失ったマウスは脳内の海馬と呼ばれる組織での神経細胞の誕生が阻害されています。このことから、海馬で神経細胞が新しく作られないことが記憶の持続が長いことと関係があるのではないかと思われ、このマウスは新しい神経細胞が造られないために古い記憶を消すことが出来ない可能性が示唆されました。このことは脳疾患を治療するために幹細胞を移植する医療に大きな影響を与える可能性があります。
▲名前のよしみで助け合い
223種類の架空の氏名を使って不特定多数の人にアンケートへの回答を依頼したところ、依頼された人物と依頼者が同姓同名の場合の回答率は6倍以上も高いことがわかりました。 |  | |
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2002年 01月28日更新 | ▲そろって走れば渋滞しない(Physical Review E 65)
道路の設計や信号機のタイミングを調整する際に必要なコンピューターシミュレーションの新たなモデルをドイツの研究者が提唱しました。このシミュレーションによると「同調流」と呼ばれる1990年代半ばに発見された交通の状態は、渋滞の発生しやすい状態に車が至ってもそれを緩衝し渋滞の発生を自然に押さえる状態であることがわかりました。ここでいう「同調流」とは多くの車が同調してほとんど同じ速度で走り、車線変更も起きない状態をいいます。
従来、非常に危ういバランスの上に成り立っていると思われていた「同調流」ですが、実は、重大事故の二大原因である急な速度変更や車線変更を自然と抑制する効果があることがわかり、今後、道路の設計過程で同調流を誘導するにはどうすれば良いかが今後検討されることが期待できます。
▲体内時計のずれは生存競争に有利に働くようだ (Physical Review Letters)
動植物の行動をコントロールしているサーカディアンリズムは多くの動植物において、地球の自転とは誤差があります。
動物では23時間から26時間、植物では22時間から28時間までと非常にばらつきのあるサーカディアンリズムは、毎日、光によって強制リセットがかけられて地球の自転に同期していますが、このばらつきの原因はこれまで未解決でしたが、日本人研究者が、種を繁栄させるために選択された進化の結果がである可能性を示唆しました。 |  | |
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2002年 01月21日更新 | ■オウム病
松江市が運営する観光施設、松江フォーゲルパークで飼育されていた鳥が感染源とみられるオウム病を発症していたことが報道されましたが、今週箱の耳慣れない病気「オウム病」を解説します。
オウム病
・オウム病クラミジアが病原体
・多くの鳥類に感染する伝染病で、人にも伝染する。
・人は肺炎、気管支炎、中外耳炎などの呼吸器症状を示し、時に死に至ることもあります。
・鳥における死亡率は感染した鳥の種類によって異なり、10〜100%
・クラミジア感染症が証明されている鳥類
オウム、セキセイ、ヒインコ、ボタンインコ、カナリア、
フインチ、九官鳥、カモメ、アヒル、ガチョウ、白鳥、
コウノトリ、フラミンゴ、鷹、鷲、鳩、ニワトリ、ウミツバメ、
ウズラ、雉、アホウドリ、ツル、ペリカン、フクロウ、ペンギン、
オオハシ、カッコウ、など15目、140種で証明されている。
・発病期の鳥は糞便や鼻の分泌物に病原体を排泄する。オウム病の鳥から人の感染は、病鳥・保菌鳥の排泄物の吸入によって感染する場合がもっとも多く、ついで、餌の口移しによる経口感染である。
■穀物を食べる虫は人にとって良質な蛋白源である
貯蔵してある小麦製品をだめにする害虫の幼虫が、肉と同じくらいの割合でタンパク質を含んでいる優れたタンパク質源であり、脂肪酸を多く含んでいるために非常に美味であることをメキシコの分子生物学者が明らかにしました。
この幼虫はチャイロコメノゴミムシダマシという、1cmよりやや大きいほどくらいのつやつやした甲虫で、小麦粉などの穀物に卵を産み付けます。卵から生まれる幼虫は穀粒を餌として育ち、開発途上国では小麦の生産量を半減させてしまうこともあるとのことです。
しかし、メキシコの貧しい地域ではこういう幼虫が貴重なタンパク質源となるかもしれず、この幼虫をそのまま食べる代わりに、主食であるトルティーヤに加えるようにすれば、虫を食べる抵抗がなくなるかもしれないとアンナ・バーバデラさんは期待している。 |  | |
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2002年 01月14日更新 | 今週のテーマは「風邪」
冬になると気がかりなのはインフルエンザの流行。インフルエンザと風邪は混同されがちですが、数百種類のウイルスが存在する普通風邪に対して、インフルエンザは基本的にはインフルエンザウイルスのみ。普通風邪は接触感染ですが、インフルエンザウイルスは空気感染、普通風邪の症状の特徴として鼻水、鼻詰まり、のどのいたみなどがあるのに対して、インフルエンザでは筋肉痛が特徴的。また普通風邪には特効薬となる抗ウイルス薬やワクチンはありませんが、インフルエンザには抗ウイルス薬があり、両者はまったく違うものです。
その他風邪薬の話題なども交えてお届けします。 |  | |
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2001年 12月10日更新 | 今週のテーマは「ES細胞」
1998年に細胞株が樹立されたES細胞は動物の初期胚から分離され、分裂によってさまざまな機能を持つ細胞になることが出来る特殊な細胞です。ES細胞から作られた神経細胞によってパーキンソン病を治療したり、脊髄損傷患者の歩行能力を回復したりすることが可能です。 |  | |
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