ジブリの最新作「ゲド戦記」スタッフ初号試写インプレッション
01における、スタジオジブリ最新作「ゲド戦記」スタッフ初号試写の感想。
第壱印象
最も伝えたい感想は、まぎれもなく「宮崎アニメ」であること。
宮崎駿監督が若返り作品を作ったような。
熟した秘伝のタレに、新鮮さが加わったような。
配色が濃密だったり、今まで見たことがない構図だったり、スピード感だったり。
「猫の恩返し」や、宮崎駿監督以外の方のジブリ作品ではなく、宮崎駿監督の作品と言っても良いくらいのものだと思いました。
試写が終わってすぐに、誰よりも早く宮崎駿監督がエレベーターで降りてこられて、人影の少ないロビーを直進され、私の座っている横の席に座られたのです。
まっすぐに前を見たままタバコを一服されました。
そのうちに、次の回を観にこられたスタッフの方が、ちらほらと入ってこられ、振り向き談笑されていました。
わたしは、「許されたんだ。」と肌で感じました。
あとから聞いた話では、直前まで宮崎駿監督が試写会に来る予定はなかったそうです。
アニメーションについて云うならば
人間を含む動物が、命を吹き込まれて、躍動感に満ちて生きていたこと。
最近のアニメでも映画でもCGでも、非現実的な斬新な画はたくさん目にするのに、どこか現実感がない、すでに用意された手法、決まった法則にしたがって描かれている感じがします。
その上に技術が積まれて高くなって、実感がないというか、地に足が着いていないというか。
けれども、本当に血が通った生物を描くには、すでに転がっている答えではなくて、若き日からこれまで宮崎駿監督が描こうとして探し求めてきたもの、真実を追求し続ける姿勢こそ大切だと感じました。
映画として云うならば
24、プリズンブレイク、ロストと、何時間にもわたる長編映画とも言うべきものを見て、わずか2時間で伝えられることのあまりの少なさを感じていた自分。
カリオストロの城の爽快感、ナウシカの世界観、ラピュタのワクワク感を超えるものが、存在しえるのか?と思っていた自分。
最初のあたりは最高だけど、オチはどんな感じ?と思っている自分。
正直少しずつ存在していました。
けれども、そんなことはいつの間にか忘れてしまいました。
哲学的な伝えるということ。
安易に答えを求めている現代に、忘れてはいけない伝えていかなくてはいけないことがあるということを伝えるということ。
見えぬものこそ。ということ。
結婚して、子供を作って、命や遺伝子を伝える、魂の器としての人間。
それも伝えるということかも知れないけれど、そんな簡単なことではなくて、思想や文化や忘れてはいけない大切なことを伝えていくことこそ本質なんだと。
ゴロウ監督が受け継ぎ伝えていくもの。
私自身も絵の道に進み、今やっていることの多くは、宮崎駿監督から映画を通じていただいたものばかりです。
私なりの方法しかありませんが、伝えて生きたいと思います。
最後に
安心して、新しいカテゴリーの「宮崎アニメ」として見に行ってください。
「ゲド戦記」の原作が持つものかもしれませんが、他の宮崎アニメとは違うカテゴリーで、ストレートな哲学的宮崎アニメと私は感じました。
台詞、とても素敵な歌や詩、一度では味わいきれないものでした。
ですから、もう何度か、すぐにでも見て何度も味わいたい気持ちです。
個人的な要望というか期待の気持ちも沸いてきています。
このまま「ゲド戦記」の全部を映画化してほしかったり、ナウシカの映画化されていない部分を映画化してほしかったり。
今回の映画の原案になっていた「シュナの旅」もそうですが、これまでに宮崎駿監督が残されたものをゴロウ監督ならば、巧みに汲み取って、映像にしてもらえるのではないかと、楽しみでなりません。